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1.クレーマーは自分に価値があることを実感するためにクレームを言う
- 世を悟った仙人は理不尽な要求なとしません。理不尽な要求である「クレーム」は、すべて強い自我への囚われ、すなわち自分の価値を実感したいという強い衝動を起点としていると考えます。
- 自我に囚われている状態だと、自分に価値がないと怖くて生きていけません。そこで、自分には価値があると思い込みます。具体的には自分は「人より頭がいい」「人より偉い」と思い込みます。
- そして、自分は価値がある上級の人間であるから、自分より価値のない下級の人間を踏み台にしても良い特別な人間だと思います。自分は人より得をして当然、大切にされて当然と思い込みます。
- そしてあなたにとっては迷惑な話ですが、クレーマーな自分に価値があることを実感したくて、理不尽な要求である「クレーム」をあなたの会社に叩きつけるのです。
- 人は誰でも自分に価値があることを実感したいという気持ちを持ちます。そのために良い仕事をしたり、良い作品を作ったりすることに一生懸命になることが通常の行動形式なのですが、クレーマーになる人は自分と世界との関係についての認識に偏りがあって、自己実現の手段として「クレーム」を言うという歪んだ行動に出てしまうのだと考えます。
- クレーマーは、そのような心理でクレームをあなたの会社に叩きつけているので、あなたが価値のない無能な人で、あなたの会社が社会的存在意義のない出来の悪い会社でなければなりません。そして、その価値のない下級な人間や価値のないレベルの低い組織をぶっ飛ばしてビビらせて、自分にひざまつかせて自分の価値を確認するという状況を夢見ています。
- 善良な顧客が苦情を言う時はとても辛そうに、こんな事言いたくないんだけど……という気持ちを持ちます。しかし、クレーマーがクレームを言う時は、口で何を言おうと本心は全く別です。本当はワクワクしているのです。獲物を見つけた野獣のように興奮しているのです。
2.理不尽な要求のタイプと心理
- クレーマーが自分に価値があることを実感するためにあなたの会社に叩きつける理不尽な要求には4つのタイプがあります。それぞれのタイプごとにクレーマーの心理を解説します。
① 理不尽な「謝罪要求」
- クレーマーは「自分は人より特別に大切にされている」ということを実感したくて「謝れ!」と言っています。クレーマーは謝罪を求める口実を知恵の限りを尽くして探します。そして謝罪させる相手をなるべく偉い人にしようとします。その方が自分が重要人物になれたような気がして気持ちがいいからです。
- 実際に役員を自宅に呼びつけて謝罪させることに成功したクレーマーは、それを武勇伝として何年も語り継ぎます。そして機会をうかがって、また新しい武勇伝を作ろうとします。
② 理不尽な「金銭の要求」
- クレーマーは、「自分は頭が良くて度胸がある」と思っており、「人の言いなりにならず、ちゃんと主張して、普通の人では得られない金銭的な利益を得ることができる」と思い込んでいます。そこで、自分の能力に応じた屁理屈や脅し文句をつけて法外な金額を要求します。
- この状態のクレーマーは、法外な金額を要求することにスリルを感じ、その要求を一部でも通せることに無上の喜びを感じます。
③ 理不尽な「契約取扱いの要求」
- クレーマーは、「自分は人より得をすべき人間だ」と思っているので、金銭以外でも通常の契約上の所定のサービスを越えた特別な対応を要求します。他の人には認められない対応をしてもらえる自分に満足します。契約上の特別な対応は、金銭的利益の大小よりイレギュラーな対応であることに価値を感じます。
- 例えば、月末までにその月の料金は払わなければ契約が無効になるという契約内容だったのに、翌月10日に支払っても月末前に支払ったことにしてもらって契約が継続する。というような些細なことである場合もあります。
- クレーマーにとっては、自分の都合で会社のルールを変えさせたことが嬉しいのです。
④ 理不尽な「特別待遇の要求」
- クレーマーは、「自分は人より大切にされるべき偉い人間だ」と思っているので、いわゆる「ちやほや」「ぺこぺこ」を要求します。
- VIP待遇のような扱いを受けると満足します。
- また、自分が適当な気分で言った要求に大真面目に応えようと多くの人が四苦八苦して大騒ぎをする姿を見ると満足します。
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