1.不満の表明は「意見」「申込」「苦情」のいずれかになる

  • 「不満」を感じた申出人は、「意見」「申込」「苦情」のいずれかの申出を行います。
  • 不満ではあるがすぐに改善できるような話ではないと申出人が冷静に判断している場合は、「ここに問題があって私は不満を感じた。あなたの会社をより良くするために改善した方が良い。」という「意見」の形をとります。とてもありがたいことです。お礼を言って承り、改善につながるように社内に働きかけることになります。
  • 不満があって怒ってはいるが、その対応が通常の手続きの範囲になっている場合は、結果的に手続きの「申込」になってしまいます。申出人に対しては速やかに申込まれた手続を進めることになります。一方で、申出人との折衝とは別の対応として、不満の原因となった対応の改善を図ります。
  • 不満に基づく要求内容に、通常の手順では対応できない「特別な要求」が含まれている場合をこのサイトでは「苦情」と言います。必要であれば、この「特別な要求」に応えることになりますが、お客様間の公平性を大きく損なうことはできません。
不満に続く要望の図

2.「特別な要求」には4つのタイプがある

  • 「苦情」の構成要件とも言える「特別な要求」は次の4つのタイプの組み合わせになります。
    • ① 謝罪要求
    • ② 事前に約束されていない金銭の要求
    • ③ 事前に約束されていない取扱いの要求
    • ④ 特別待遇の要求
  • このような「特別な要求」であったとしても、理に適うものであればできる限り応じます。要求は不満に基づいているものなので、その不満の解消のために要求されていることよりもより良い対応があるのであれば、むしろ申出人の要求を越えるより良い対応をして不満の解消を図ります。
  • 例えば、子どもが夏休みの朝のラジオ体操で参加のスタンプを押してもらっている。全部スタンプが押されるとご褒美に学習ノートがもらえる。ラジオ体操は日曜日はお休み。という話を想定して下さい。雨が降れば次の日曜日に振替え延期になるのですが、世話役の大人が雨が降った場合は、最終日の翌日に振替え延期になると、一部の子供に説明していて、その子供たちは雨が降った次の日曜日に参加せず、欠席となってスタンプがもらえなかった。そのお母さんが怒って世話役の人に苦情を言います。欠席した分の体操を自宅でやらせるのでスタンプを押してください。これは、事前に約束されていない取扱いの要求です。お母さんの要求した通りにするかどうかは別として、原因となった不満の解消を図ります。お母さんの要求通りでも良いのですが、要求を越える対応の方が可能でその方が不満を解消する対応としてスマートであるのなら、そのような提案もします。

3.「特別な要求」が理不尽であれば「苦情」は「クレーム」の変質する

  • 「不満」と「特別な要求」の関係が理に適っていれば「苦情」として対応します。
  • 「不満」と「特別な要求」の関係が理不尽であれば「苦情」は「クレーム」になると、このサイトでは考えます。
  • 例えば、申出人からの要望を受けて「解約申込書」を送るべきところ、誤って「契約申込書」を送ってしまったとします。申出人は怒って、「俺が、解約すると言っているのに、新たに契約しろって書類を送り付けるとは人を馬鹿にしているのか!」と言います。ごもっともです。手違いをお詫びして、改めて「解約申込書」を送り直して返信用の封筒を手配します。そして、手続きが遅れて一月分の料金が余計に銀行口座から引き落とされたので、ひと月分の料金を返金することを提案します。
  • ここで、申出人が「よし分かった。ひと月分の料金はちゃんと返してくれるんだな。もうこんな間違いをすんなよ。びっくりしたぜ。」で話が終れば、申出人は「苦情」を申し出られたお客様ということになります。
  • ところが、申出人が「ふざけるな!会社のお客様に対する心の問題だ!許せない。この契約、最初からなかったことにしろ。過去3年間に支払った月額料金を全額返金しろ!」とか「社長と担当役員の二人で俺の家に来て詫びろ!」とか「マスコミに連絡して謝罪会見を開け!」とか言われると、不満に対する要求としては理不尽です。このように理不尽な要求は「クレーム」です。
苦情とクレームの違いの図
  • 申出人の要求は一つとは限りません。
  • 複数の要求の中に、「普通の要求」と「特別な要求」が含まれ、「特別な要求」も理にかなったものと「苦情」と理不尽な「クレーム」があり、いろいろなもの混在する場合が少なくありません。