テクニック④-1:期待メリットは合理的か?

  • 通常の客様の苦情には合理性がありますが、クレーマーのクレームはどこかで合理性を踏み外しています。
  • 合理性を踏み外す最初のチェックポイントは「期待メリット」です。
  • ビジネスである以上、あなたの会社とお客様は相互にメリットの交換をしています。あなたの会社が提供するサービスと、お客様がお支払いになるお金のバランスについて、双方が妥当と考えた時にビジネスが発生します。
  • 通常のお客様が抱く「期待メリット」は、お客様があなたの会社に提供するメリットとバランスの取れた合理的なものです。しかし、クレーマーはその合理性を欠いた異常に高いメリットを期待している場合があります。
  • 100円のケーキであれば、100円の味がします。1000円のケーキであれば、1000円の味がします。100円のケーキに1000円の味を求めると合理性のない「期待メリット」を抱いていることになります。
  • 「俺は客だ。お前んとこのサービスはこうあるべきだ。なのにそれが出来ていないとは何事か!」という話になります。「扇風機は人を涼しくするものだ。なのになんだ!全然涼しくならないじゃないか?これじゃあ、熱中症で人が死ぬぞ!お前の会社は人殺しか!」というようにもなります。この不満が合理的かどうかは、支払った料金次第です。もっと丁寧なサービスをして貰えると期待していた。もっと涼しくなると期待していた。でも、それに見合う対価を払っているのだろうか?という話です。

テクニック④-2:不満は合理的か?

  • 合理性を踏み外す二つ目のチェックポイントは「不満」の度合いです。
  • 「期待メリット」が合理的であったとしても、「獲得メリット」の差の認識に基づく「不満」の度合いが合理的でない場合があります。
  • どんなサービスでも、ある程度の「期待メリット」と「獲得メリット」の差はあるものです。レストランに入って料理を注文します。メニュー表の写真では分厚い肉に食欲をそそる添え物があって、ついているスープはコーンスープです。でも、提供された料理はメニュー表の写真のように大きな肉ではなく添え物も少し貧相だし、スープは少し苦手なオニオンスープ。ある意味、レストランのメニューの写真などそんなものです。食べればそれなりに美味しいし、値段に見合う範囲だと思いえば思えます。それをもって、店長を呼び出し一時間も文句を言いますか?という話です。
  • 確かに「期待メリット」と「獲得メリット」に幾分かの差があることは認めるが、その差は申出人が発している不満の度合いと合理性が保たれているのか?と考えます。合理性があれば通常のお客様の苦情であり、合理性を踏み外していれば、クレーマーによるクレームです。

テクニック④-3:要求は合理的か?

  • 合理性を踏み外す最後のチェックポイントは「要求」の内容です。
  • 「不満」の度外が合理的であったとしても、「要求」の内容が合理的でない場合があります。
  • 販売した商品に不具合があったとします。それが不満だという申し出は合理的です。そして、それに対応する要求が、不具合のない商品に交換する。その交換に関する金銭的は負担を申出人は負わない。また、過剰に面倒な手順を申出人は負わない。という程度であれば要求内容も合理的です。
  • しかしそれが、社長による謝罪文書の提出、再発防止計画書の提出、HPで経緯公開と謝罪文の掲示、責任者・担当者の処分、慰謝料の請求……となると合理性を踏み外しています。このような要求をする申出人はクレーマーです。
  • クレーマーであるか否かの見極めは、以上の3つのチェックポイントで判定します。